がん支えあいの日|6月21日

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村上志歩美

緩和ケア認定看護師の村上志歩美です。
看護師としては15年目になり、これまで13,000人を超える患者さんと関わってきました。
緩和ケアの世界でキャリアを積み、順風満帆に思えた看護師人生でしたが、流産を経験して初めて我が子を亡くす痛みを知りました。そして支えてくれた家族や友人の優しさがどんなに人の心を癒やすのかを知りました。
こんな私だからこそ大切な家族を失う人の気持ちがわかりますし、緩和ケアの素晴らしさが伝えられます!
私が持っている知識を余すことなく発信するため、本の執筆や看護学校での講師など精力的に活動中。
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Last Updated on 2023年6月19日 by 村上志歩美

あなたは6月21日が何の日かご存じですか?

私は縁起の良い日を調べていて、たまたま目に入ったのが『がん支えあいの日』でした。

がんの患者さんであっても、がん看護に携わっていてもご存じない方は多いのではないでしょうか?

世界中、いろいろな記念日で溢れているので知らないことがあって当然なのですが。

私は知ったからには、他の誰かにも知ってほしいと思ってしまいます。

というわけで、本日のブログはいつもとは毛色の違うテーマになります。

がん支えあいの日

そもそも、がん支えあいの日ってなんでしょう?

どんな日?

『がん支えあいの日』は、社会全体でがんのことを考え、お互いに支えあう日として制定されました。

世界共通、自然の営みの節目にあたる日に“がんも人生における節目である”ことを重ね合わせ、もっとも長い昼あるいは長い夜に“がんについて考え、語りあう時間”を持っていただければと考えています。

NPO法人キャンサーリボンズ

北半球の夏至、南半球の冬至にあたることが多いため、「人生における節目ともいえるがんについて、もっとも長い昼・長い夜に、考え、語りあう時間を持ってほしい」という願いが込められているそうです。

がん患者さんが自分らしい生活を送るための支援を実行に移す日ということで、テレビ番組で特集をされたり、チャリティーイベントが開催されたりします。

私たち一人ひとりが、がん患者さんにとってできることを考え、実行できるように…という願いもあるそうです。

誰がいつ決めたの?

2008年に特定非営利活動(NPO)法人キャンサーリボンズが6月21日を『がん支えあいの日』に制定したそうです。

NPO法人キャンサーリボンズでは、毎年、『がん支えあいの日』を記念してがん患者さんやご家族を中心としたイベントをおこなっていく予定です。

NPO法人キャンサーリボンズ

2008年から制定されているということは、私が看護師になる1年前ですね。

『がん支えあいの日』には15年あまりの歴史があるようです。

だというのに私が知ったのは今年ですよ。

キャンペーンやテレビ番組の特集で『がん支えあいの日』を見聞きしたことはあるのかもしれません。

見聞きしたことであっても、当事者としてがんを抱えている方とは受け取り方も違うだろうと思います。

私にできること

私にとっても『がん支えあいの日』は特別な日として覚えておきたい日になりました。

私はがん患者さんに直接的な関わりがあるのはもちろんですが、がん看護に携わる看護師さんの指導的立場でもあります。

私が緩和ケアに関する発信をして、その知識をケアに活かしてくれる看護師さんがいたら、それは巡り巡ってがん患者さんに還元されるものかもしれません。

そう思うと身を引き締めて、有益な情報を発信したいと思えます。

私は緩和ケア認定看護師だからできることは比較的明確です。

ですが、一般の方にとってはどうでしょう?

誰にでもできること

『がん支えあいの日』は、社会全体でがんのことを考え、お互いに支えあう日だとお伝えしました。

がんに罹患していない方(がん患者が身の回りにいない方)は、ピンとこないかもしれません。

自分にできることなど思いつかないという意味ではなく、他人事であるからこそ、想像の及ばないことが多いだろうと思います。

がん情報サービス

がんについて考え、語り合う時間をもつことに意味はあります。

  • がんがどんな病気なのか
    • 2人に1人ががんになる
    • 男性の4人に1人ががんで亡くなる
    • 女性の6人に1人ががんで亡くなる
    • がんの三大治療は手術、放射線、薬物療法
    • がん治療に加えて緩和ケアを早期に導入(併診)すると予後が長くなる
    • 若年でもがんになる可能性はある
    • 健康に気をつけていてもがんになる可能性はある
  • がんを抱えて生きている人を想う
    • 気持ちの浮き沈みがあって当然(体験者にしかわからないつらさがある)
    • 見た目にわからない症状がある(貧血、しびれ、倦怠感などを抱えている)
    • 死の不安を抱えている(身体機能の低下も感じる)
    • 金銭的な負担が多い(通院・入院費、治療費など)
  • 自分にできることを考える
    • 自分も他人も大切にする(もしかしたらがんかもしれない)
    • 公共交通機関の優先席の適切な使用をする
    • 終活に手をつけてみる(エンディングノートの作成など)
    • 家族と価値観について話し合う
    • 正しい情報を知る(ネットの根も葉もない噂にとらわれすぎない)

私は国立病院機構の病院に勤務していましたが、がん患者さんやご家族は不安が強く、ネットの情報に振り回されていることもありました。

何を信じるかは人それぞれですが、がん患者さんを狙ったいかにも怪しい団体もあります。

私は患者さんやご家族にインターネットで調べるなら一貫して『がん情報サービス』しか案内しませんでした。

情報は多いほどいいかもしれませんが、どれが正確な情報だかあなたは判断ができますか?

冷静な状態であれば、胡散臭いと疑うような情報であっても、がんになったら藁にもすがる思いで信じてしまうことがあるでしょう。

前もってがんについて勉強しておくことも大切です。

おまけの小話

私は最近、アスコム|著:小澤竹俊先生の『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』という本を読みました。

2人に1人ががんになる時代だと言われていても、結局のところ自分が当事者にならないとその苦しみは理解できないと思います。

看護師は簡単に『寄り添うことが大事だ』と言いますが、『寄り添う』って本当の意味ではどんな行動を指すのでしょうね。

やんわりとわかるけれども、『寄り添う』ということがどういうことだが、具体的に言語化できる人はいるでしょうか。

私は前者で、『寄り添う』という意味をやんわりとしかお伝えできない人間です。

誰かにとって『寄り添ってもらえた』と感じるケアが、他の誰かにとっては必要とされない場合もあります。

自分が当事者にならないとわからない境地がきっとあるのです。

なぜ突然、『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』という本のお話をしたかというと、自分の命の終わりを想像して読むことができたからです。

今、自分自身の周りにいるヒト、モノがすべて本当に自分にとって大切な存在なのか?という気持ちになりました。

ダラダラと長く生きているよりも、大切なヒトやモノとの時間をギュッと凝縮させた方が、残された命がたとえ短かったとしても後悔の少ない人生になるのではないかと思えました。

それと同時に、やはりいつかくるそれら大切なヒトやモノとの別れを想像すると胸が苦しくもなります。

この本の言葉をどれだけ全力で読み込めたのか、想像できたかによって、がん患者さんへの支援の力の入れ方が変わるようにさえ思います。

もしも『がん支えあいの日』に何をしたらいいか、何を話し合えばいいかわからない方がいたら、『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』を読んでみてください。

自分の価値観を徹底的に研ぎ澄ませて、それと同じように他者の価値観も大切にできるようになるのではないかと想います。

さて、今日は6月21日の『がん支えあいの日』をご紹介させていただきました。

支え合うことはもちろん大切ですが、思いを馳せることだけでも意味があります。

2人に1人ががんになる時代です。

隣の席に座っている方もがんかもしれません。

私自身もいつがんの宣告を受けるかわかりません。

人間ていうのは不思議と他人事を自分事のように想像してみることで、少しだけ世界に優しくなれたりします。

『がん支えあいの日』がさらに日本中に広まり、がん患者さんが必要なときに正しい支援を受けられる社会になることを願っています。

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