パフォーマンスステータス|がん患者さんの全身状態の程度を考えよう

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がん患者さんの特徴
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SHIPO

緩和ケア啓蒙活動家のSHIPOです。
2016年緩和ケア認定看護師になりました。
看護師としては15年目になり、これまで13,000人を超える患者さんと関わってきました。
緩和ケアの世界でキャリアを積み、順風満帆に思えた看護師人生でしたが、流産を経験して初めて我が子を亡くす痛みを知りました。そして支えてくれた家族や友人の優しさがどんなに人の心を癒やすのかを知りました。
こんな私だからこそ大切な家族を失う人の気持ちがわかりますし、緩和ケアの素晴らしさが伝えられます!
私が持っている知識を余すことなく発信するため、本の執筆や看護学校での講師など精力的に活動中。
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先輩看護師から患者さんの『PS』を尋ねられたことはありませんか?

看護師
看護師

患者さんのPSは?

私は新人看護師の頃に「PSどれくらい?」と質問されて、「PSって何?追伸??」とパニックになったことがあります。

がん看護をするならば、当然パフォーマンスステータスを知っておかなければなりません。

ホスピスに転院調整をするときにも書類にPSを記載する欄が設けられていたりします。

PSはがん患者さんの化学療法ができるかどうかの指標にもされます!

病院勤務の看護師は24時間継続して看護を提供しており、入院中のがん患者さんの1日の過ごし方を医師よりも把握していると言えます。

ですから、看護師が記載した看護記録は、患者さんのPSを判断する最高のデータになるんです。

看護記録にどのような情報を記載すべきか迷う看護師さんもいますよね。

今日は明日からのがん患者さんの観察の視点を養うためにパフォーマンスステータスについて知っていただけますと幸いです。

パフォーマンスステータス(PS)とは?

パフォーマンスステータス(PS)とは、患者の全身状態を日常生活動作のレベルに応じて0~4の5段階であらわした指標です。

0~4の5段階は下の図の通りです。

まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
国立がん研究センターがん情報サービス

パフォーマンスステータスは、アメリカの腫瘍学団体の1つECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)が提唱したものを日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が日本語訳したものです。

パフォーマンスステータス(PS)は何に役立つの?

パフォーマンスステータスは、化学療法を行うかどうかの指標にもなるため、適切に患者さんの全身状態を把握しておかなければなりません。

化学療法が行えるのはグレード0~2の患者さんとされています。

つまり、グレード3と4の場合は、原則として化学療法は行わない方針となります。

パフォーマンスステータス3~4の場合、患者さんの状態はあまり良くないため、化学療法による治療効果よりも重篤な有害事象が出現するリスクの方が高いと考えられるからです。

化学療法がよく効くと考えられている固形がんや血液腫瘍もあります。

パフォーマンスステータス3であっても、化学療法が奏功する可能性が高いと考えられれば治療適応となることがあります。

以前、骨転移によって体動困難でパフォーマンスステータスで評価すればグレード4だった患者さんがいました。

化学療法が効きやすいタイプのがんだったこともあり、寝たきり状態ではありましたが、リスクよりもベネフィットが上回るだろうと判断されたため、放射線療法と化学療法の併用で車椅子に移乗できるようになった事例もありました。

私は新人の頃に血液内科配属だったのですが、血液内科は特に亡くなる前のぎりぎりまで化学療法をしている患者さんが多かったように記憶しています。

基本的にはパフォーマンスステータスによって治療方針が決定することが多いのですが、がん腫によって化学療法の効きやすさが異なるため、全身状態が悪くても化学療法の適応となる場合があると覚えていて下さい。

ちなみに化学療法の評価判定で使われるアルファベット表記・・・覚えにくいですよね。

  • 完全寛解(CR/コンプリート・レスポンス)
  • 部分寛解(PR/パーシャル・レスポンス)
  • 不変(SD/ステイブル・ディジィーズ)
  • 進行(PD/プログレッシブ・ディジィーズ)

PDと判定された場合は、治療方針が変更になります。

PDはがんの進行と言うことなので、治療効果が得られない薬剤を繰り返し使用しても、有害事象だけが出てしまうと考えられます。

化学療法に用いられる薬剤はたくさんありますが、がんによって使用される薬剤は異なりますし、治療効果が高い薬剤から使用します。

PD(進行)判定後は、どんどん効果が低い薬剤に切り替えることになるため、いつか治療の限界がきます。

つらいですが、寛解を目指せない延命目的の化学療法もあることを知っておきましょう。

看護師は患者さんの何を見るべきか?

パフォーマンスステータスについては、なんとなく理解できたでしょうか?

少しおさらいしておきましょう。

PS0~PS4までの表に記された表現のとおり完璧に覚える必要はありません。

PS0はいたって健康体で元気に歩き回れる人です。

その反対にPS4は完全に寝たきり状態だと思っていてOKです。

PS1は、自宅で通常通りの家事や生活ができますが、PS2になると家事がしんどくなってきます。

PS2までは自宅での生活が可能な状態ですし、化学療法も可能とされるボーダーラインでしたね!

PS3になると、日常生活が難しくなってきて、ベッド上か車椅子など限られた範囲での活動にとどまります。

SHIPO
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では、私たち看護師は患者さんの何を見るべきでしょう?

がん看護をしていると、バイタルサインや血液データ、レントゲン、CTなどを見る必要はもちろんあります。

ですが、まず私たちは「病気を診る」より「患者さんを看る」ことを優先したいですね!

以前、後輩看護師が「医者は病気を見て患者を見ていない!」と憤慨していたことがありました。

私もハッとしたのを覚えています。

私たち看護師は、「患者さんの生活」も視野に入れて看護を提供しなければなりません。

データばかり見ていても患者さんの全体像は把握できませんよね。

患者さんはひとりで歩いて、お風呂もひとりで入って、食事も自分で食べられて日常生活に困っていないか?考えてみましょう。

トイレまでは独歩で行かれるのか、車椅子で自走するのか、看護師が護送するのか、ポータブルトイレなのか、床上排泄なのか?

歯磨きは洗面所まで行って自分でしているのか、テーブルに看護師がセッティングすれば自分でできるのか、完全に看護師が介助しているのか?

患者さんの生活に着目して、どこに一部介助が必要か、全介助が必要かを考える癖をつけましょう。

私は以前、退院前カンファレンスの際にケアマネージャーさんからの「浴室をまたいで入ることはできますか?」と尋ねられたとき、答えられないことがありました。

在宅療養ではもちろん患者さんの生活を考えてプランニングが必要でしょう。

入院中は患者さんがどこまで自分でできるのか情報がとれていないことが多々あります。

看護記録にも患者さんが身の回りのことをどこまでできるのか記載しておかなければ、看護計画や評価ができませんよね。

ですが、事細かに記載すると記録に莫大な時間がかかってしまいます。

パフォーマンスステータスのグレードを書くだけでも医師には伝わりますし、日常生活の状況を観察しながら「この患者さんのPSは何だろう?」と考える癖をつけると訓練になりますね(^^)

SHIPO
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病気だけを見るのではなく、患者さんを看る!患者さんの生活を視野に入れて情報収集とアセスメントをしていきたいですね!

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